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印刷メディア上で美術はどんな事柄と共に語られてきたかを知ることによって、美術と世の中の諸領域との結びつきを確かめてみようという試み。 過去約8年間の日本経済新聞社主要紙誌の記事に、あらかじめ選定したキーワードがどの程度含まれていたか。 図の横軸は、単純に該当した記事の数を示し、縦軸は、そのキーワードと「美術」が同時に含まれていた記事の数。 この図からは、まず美術は「文化」と語られることが最も多いことがわかる。これと同じ分析を「音楽」と「文学」についても行ったが、文化が最も多いという傾向は同じであった。 図中の1%ラインは「キーワードを含む記事が美術も含んでいた率1%」を示し、3%ラインは「美術を含む記事がキーワードも含んでいた率3%」を示している。これをたよりにながめると、2つのグループが見えてくる。 「デザイン」「空間」は相互に関係が強いグループ(キーワードから美術、美術からキーワード、どちらから見ても含有率が高い)。これは意味的にも基本的、直接的な関係をうかがわせる。 もう一方の一群は「企業」「開発」「経済」「テクノロジー」「地域」だ。これらはキーワード記事の中に「美術」を含まれることは多くはないが、美術記事の中で比較的頻出する傾向がある。つまり、美術が潜在的、顕在的に指向する新しい結びつきだ。 バブル期の経済の話題(過渡的な話題)としての美術というのは確かにあった。だけど、企業と美術、地域開発と美術、テクノロジーと美術…。こうした関係性には依然としてし可能性が残っているのではないか。  |
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