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文化・芸術の中心である国の多くはバランス型か輸出型。
日本は例外的ともいえる極端な輸入傾斜型。

日本の美術品・骨董品の輸入額は輸出額の117倍

fig15

続いて、美術品の輸出と輸入のバランスを見ていこう。 上図の縦軸は美術品(収集品、骨董品を含む)輸出額のランキングになっている(このランキングの上位に位置するということはその国が「美術をアウトプットする側である」可能性が高いといえる)。 横軸は、輸出、輸入の「多かった方」が「少なかった方」の何倍あったかを示している。つまり、左に行くほど輸出が輸入に比べて多い「輸出型」といえるし、右に行けば「輸入型」だ。 ここにランキングされた国々の平均は輸出型方向に1.03倍で、おおむね同じくらい、つまりウェルバランス型といえるだろう。特にアートの中心ととらえられる諸国は、輸出額が多いことに加え、「やや輸出強めのバランス型」といえそうだ。 こう見たとき、産油国クェートの29倍の輸入型に驚くが、日本の117倍はもはや異常事態とまでいえそうだ。この分析は、厳密には具体的に流通した物品の内容やその国の相対的経済力なども加味する必要があるが、日本が世界に類のない極端な「買い込み型」であることは間違いない。 参考までに、日本における美術品取引が特に活況を示した1990年の輸出額は約4500万ドル、輸入額は約42億ドル。この輸入規模がどの程度のものかというと、日本の総輸入額の2.3%を占め、前年比は165%、鉄鋼、アルミニウム(合金含む)、有機化合物などの輸入額とほぼ同等だといえばイメージできるだろうか。 もちろんこれはあの「バブルの日々」の話だ。 source15

文化・芸術の中心である国の多くはバランス型か輸出型。
日本は例外的ともいえる極端な輸入傾斜型。

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