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日本の美術は規模的には発展してきている。
しかし……
 

美術館が増えてきた。

fig1

美術館は急速に増加した。 この傾向はいわゆる「バブル後」もしばらく続いた。というのは、すでにバブル期に着工計画が成立していたものの多くはそのまま継続されたからだ。 ちなみに、実は「美術館数」というものの実態は極めて把握しにくい。規模は国立クラスから個人の趣味的なものまでに及ぶし、「博物館」「展示館」「記念館」などといっても美術作品を展示していれば美術館に入るともいえそうだ(少なくとも来館者にとってはそうとれる)。つまるところ美術館というものの定義が曖昧でしかないということだ。 とはいうものの、この時代に「美術館的なもの」が増え続けていたことに異論は出てこないはずだ。  source1

美術館に足を運ぶ人が増えてきた。

fig2

美術館数増加と歩調を合わせ、来館者も増え続けていた。 総入館者が増えたということは、まず美術館が増えた分、ちゃんと人が来ているということがいえそうだが、それに加えて一館あたり入館者数(グラフ上の赤い折れ線)も伸びており、「美術館に足を運ぶ人」が増えた様をうかがわせる。 source2

美術アーティスト人口が増えてきた。

fig3

美術アーティストといっても、これも美術館同様、定義の問題は大きく、「自称」が多い上に「(誰が見ても該当するのに)私はアーティストとは呼ばれたくない」なんて人も多そうなのがこの世界だ。 とはいうものの、ここではあくまで増減の傾向を知るために、国勢調査に対して「芸術系職業者である」と自己申告した人を対象とした。図中のARTは画家・彫刻家・工芸美術家を、WRITEは文芸家・著述家を、MUSICは音楽家、ACTは俳優・舞踊家・演芸家をそれぞれ指している。 日本人総数の増加傾向に比べて明らかにどのジャンルも増えている。美術系アーティストは70年代から1.7倍にもなったということだ。ちなみにその実数はというと、1990年で約32000人である。 source3

日本の美術は規模的には発展してきている。
しかし……

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