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日本における美術のあり方研究プロローグ
日本における美術の実態を量る

 
NiCAF出展時に掲出された、北川フラム氏による序文

この国での“美術”の実態を量ってみる。それが私たちの第一歩です。
現在の“美術”は危ういと私たちは思っています。巷間で言われる市場の停滞が問題なのではなく、それはほんの氷山の一角で、“美術”が位置するところ、それを支える構造、人々の理解の仕方、それらが相乗した脆弱さが“美術”の危機の実態だと統計は示しております。今こそその実態を検討するよい機会だと私たちは考えます。
美術が本質的に持っている力を再発掘し、私たちが暮らす街や生活を営む、広い環境のなかに美術が位置するための方法を編み出すこと。それが私たちの次の一歩となります。美術が広く社会へと踏み出し、深く浸透していくなかで、おのずと社会環境を支える企業・自治体との関わりが強くなり、また逆に企業・自治体の視線から“美術”の存在価値が問い直される。私たちはこの認識を出発点として企業・自治体とともにこの国における“美術のあり方”を研究、実践していきます。
今回の展示パネルでは“美術”が私たちの環境のなかで充分にその力を発揮しきれていないことを検証してみました。
もとより美術は次代の予感であり、同時代の鋭い反映でもあります。それは古来、死すべきものとしての弱い人間の最後の友だちでありました。私たちはその美術を少しでも支え、伝えていきたいと思っています。それが私たちのずっと続くステップです。

アート・フロント・ギャラリー

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