マチュー・フォン・ステューマーは家具、室内装飾品の制作、店舗空間プロデュースなどを手がけるデザイナー。一応「メタル」の工芸家ということになっているが、アルミ、ブロンズを始め、木やガラスなども多用する。 そのデザインには常に優雅でかつ少しキュートな味わいを持つ曲線が見られる。そのもののライン、丹念にデザインされた部分品、木の目の流れ、あるいはガラスに仕組まれたすかし模様などなど、どこからも有機的な、生物的な動きが感じられる（脚を踏みしめたキャビネット、尾ヒレを振る花瓶……）。とりわけ彼は海のもののモチーフを好む。ニュージーランドの海をこよなく愛する彼は、クジラや様々な魚からその動き、曲線を得ているようだ。 また、彼の大きなテーマは「フュージョン・カルチャー（文化の融合）」にあり、彼の制作活動はニュージーランド内でのマオリ vs 西欧、ニュージーランド vs 西欧、ニュージーランド vs 日本といったさまざまなレベルでの融合のための試行錯誤でもある。海のものから得た曲線が木や金属に写し取られるのも、陸・山のものと海のものの彼なりの融合と言えるかもしれない。 オークランド在住。 LINK: 彼と仲間たちの会社、Zealous Design のサイト（英文のみ） The web site of his company "Zealous Design". http://www.zealousdesign.co.nz/ LINK: 彼の作品や経歴、メッセージなどを参照できます（英文のみ） These web pages show you his works, history and messages. http://interface.co.nz/amba/metal_artists/sturmer.html
		上："CABINET", 1993 　　プライウッドの目と鋳造の脚の質感、曲線のバランスが美しい。 　　把手はブロンズ製。 下："SPRAT VASE", 1991 　　高さ22cmの花瓶。Spratはヨーロッパ産のイワシの一種。 　　魚のシルエットに動きが感じられ、どこかユーモラス。